(不)正直な私たち

「(不)正直な私たち~”ウソ”を巡る”本当”の話」、NHKBS1、2016.8.31


ダン・アリエリーがプロデューサーで製作した、ドキュメンタリー。半分は、アリエリー先生の講演で、半分がウソで自分の人生を棒に振った人たちのインタビュー。

基本的には、「どういうきっかけが人にウソをつかせるのか」という問いに、アリエリー先生が答えていくというもの。この人、話がめちゃくちゃおもしろい。話の切り出しも料理の仕方も非常にうまい。本があれだけおもしろいのだから、当然かもしれないけど。

驚くのは、不正で逮捕されたり、離婚したりした人たちが自分の体験をカメラの前で正直に話していること。八百長に関与して逮捕されたNBAの審判とか、不倫をしていた妻とか、学位の詐称、詐欺他いろいろ。そんなことをテレビカメラの前で話していいことあるのかと思うが、みなさんはっきり話している。

アリエリー先生によると、不正を合理化する言い訳=不正係数が不正の度合いを左右する。みんなやっている、利益相反、誰も傷つけない、他人のためのウソ、創造性、監視の欠如、社会規範、疲れ、犯罪からの距離、自己欺瞞といったもの。

そして、ウソに関係ありそうな他の要因、例えば性別や文化は不正の要因としては関係ないという。性別はともかく、ウソの多い国とそうでない国は確実にあるのではないかと思っていたが、要因をコントロールした環境では、それはないらしい。実験した結果の結論なので、そのとおりなのだろう。

基本的には、特定の人だけが不正をするのではなく、環境要因によって誰でも不正をする可能性があるので、社会や経済には甚大な影響がある。まあ、そうでしょう。

とりあえずアリエリー先生の本を読まなくては。