野党という病い

筆坂秀世『野党という病い』イースト新書、2016


筆坂秀世の野党評論本。自民党民進党のことも大きく取り上げているのだが、読ませるのはやはり共産党の部分。

選挙制度批判をしてると思ったら、小選挙区比例代表並立制の批判をしているのではなく、選挙運動に制約が多すぎるということに対しての批判。もともと並立制には批判的ではなかったのか?ちょっと驚いた。

共産党の「国民連合政府」だが、そんなものが実現しないのは共産党も百も承知とのこと。共産党が自分から候補者を降ろすことによって、安保法制廃止に共産党が本気だというアピールになること、他党の共産党アレルギーの軽減に役立つことが理由。現実的には、共産党が全選挙区で候補者を立てることはできなくなっているので、やめても実害はない。

とはいえ、安保法制廃止だけでは政策としては弱すぎる。他のアイテムが必要だが、それが何かについては触れていない。結局、民進党が何を出すか、それに共産党が乗れるのかということ次第。著者は、最低賃金1500円、金持ちへの所得増税、消費税引き下げを上げているが、これを民進党が受け入れるのは相当にむずかしいだろう。

大して受けていない安保法制廃止だけでは意味がなく、わかりやすい話でなければ勝てないというのはそのとおり。しかし、民進党がこれを受け入れるのはかなり難しいはず。共産党が嫌がることも受け入れなければならないことになるが、できるのかできないのか。