まじめに生きるって損ですか?

雨宮まみ『まじめに生きるって損ですか?』、ポット出版、2016


著者のウェブ上での人生相談コラムを書籍化した本。人生相談というか、著者によれば「愚痴」。あるのは、相談する人の心の叫びで、相談者も解決策を求めているわけではない。

「努力したのに報われないんです」、「恋愛したいのに、なぜできないんでしょう?」、「見た目のことが苦しいんです」、「私の生き方、間違ってますか?」という4つのパートで相談者の悩みに答えているのだが、これはよくある人生相談への回答とはまったく違ったテイスト。

基本的に人生相談への答えは「アドバイス」、または言い方を変えれば「説教」みたいなことになってしまうことが多いのだが、著者の回答には説教臭が全然感じられない。あるのは、相談者への「共感」。

著者は自分のことをさらけ出して、まず相談者と同じ立場に自分をおく。これはなかなかできることではないわ。中島みゆきの「泣いてもいいんだよ」を思い出す。これができるのは、著者の人柄のおかげ。

他人の文章に対して文章で応答しているのだから、ひたすら相手の話を聞くだけということはできず、相手の納得する言葉で返さなければならないが、これが本当にちゃんとできている。

著者はいろいろと人生で苦労してきた人だが、苦労した分、人の気持がわかるということ。著者はほんとうにえらい人。