NHKはなぜ反知性主義に乗っ取られたのか

上村達男NHKはなぜ反知性主義に乗っ取られたのか 法・ルール・規範なきガバナンスに支配される日本』東洋経済新報社、2005


著者は早稲田大学法学部教授、前NHK経営委員(2015年2月まで)。この本の内容は、NHK会長の籾井勝人の行状を暴露すること。

この本を読む限り、籾井勝人という人は、「こんな人が本当に大企業(三井物産)の経営幹部だったのか」というレベル。NHK会長という立場がわかっていないし、自分の言うことを聞かない人には感情的に怒鳴るだけ。物議を醸していることは知っていたが、これは人格的に変な人だし、放送事業についての見識もない。

この本で語られる籾井氏やNHK経営委員時代のエピソードは具体的で詳細。きちんと記録をつけていたことがうかがわれる。また他の経営委員に対しては、百田尚樹はむちゃくちゃだと言っているほかは批判的ではないので、政治的に偏っているとも思われない。

ただし、タイトルになっている「反知性主義」は、佐藤優の本から孫引きしていて、学者として、それはいただけない。当然「反知性主義」というのは、ただの知性ゼロということだと思っている。また佐藤優を「思想家」と書いている。とはいえ、この本の信憑性に疑問が生じるというレベルではないので、重大なことではない。

こういう人がNHKのトップにいて、やりたい放題やっているのだから、いろんなことが起きてあたりまえ。理事は茶坊主以外は残さないのだし。金正恩と変わらない。