風と木の詩 #7-8

竹宮恵子風と木の詩』 #7-8


がまんがきかず、8巻まで読んだ。7巻と8巻はセルジュの話。とはいえ、セルジュが生まれるまでの、父アスランと、母パイヴァのおはなし。

話そのものはまるっきりデュマ・フィス『椿姫』のパクリで、実際にこのエピソードのタイトルも「椿姫」になっている。自分はデュマ・フィスの原作は読んでおらず、プッチーニのオペラしか知らない。しかし、プッチーニよりこちらの方が十倍いいわ。

何が違うかというと、アスランは、そのままセルジュなので、ひたすら純粋。オペラのアルフレードは、バカ同然なのに対して、こちらのアスランはパイヴァに一目惚れしたら、まっすぐにパイヴァを口説く。初めて対面した席で告白するバカがいるか?しかし、実際にいたら相手は落ちるかもしれない。

しかも、パイヴァは、侯爵の持ち物。アスランは夜に侵入して、パイヴァを奪い取るのだが、このくだりは、まるで「ワルキューレ」みたいだ。

単に悲劇で終わるのではなく、実際にアスランはパイヴァを連れてスイスに逃げて、そこでセルジュが生まれる。アスランはセルジュが幼いうちに結核が再発して死亡。セルジュの人となりを知らなくても、このエピソードだけで十分完成されている。