沖縄現代史

櫻澤誠『沖縄現代史 米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで』中公新書、2015


沖縄戦以後の沖縄通史。時期を区切って、それぞれの時期の政治、経済、文化・思想での出来事をまとめているので、大変読みやすい。

特に参考になったのは、本土復帰前の沖縄史。沖縄政界の政党制や分界線の形成、本土の政党との関連、統治者である米軍との関係について、いままでほとんど知らなかったので、この部分は非常にありがたかった。

復帰後に、現在まで残っている「保守-革新」対立についても、教えられるところが多かった。あまり分析的な記述はないが、保守-革新対立がそれほど固定的なものではなく、時期によって流動している性格のものであることはわかった。その結果の1つが、現在の「オール沖縄」のスローガン。

本書の性格上やむを得ないが、沖縄の利益政治や県-市町村関係の複雑さ、それらと知事選、国政選挙の結果がどう関係しているかについての記述は薄い。それは他の本で補完が必要なところ。