三国志演義 1

井波律子『三国志演義』1、ちくま文庫、2002


井波律子訳の『三国志演義』、今まで読む機会がなかったが、やはりよい訳。現時点での決定版はこれだわ。

全訳だし、現代日本語として違和感のない文章、そして注。翻訳としての基本的な条件が揃っている。挿絵も、原典(毛本)のものが使われているので、日本くささがない。岩波文庫の小川、金田訳は、江戸時代の日本語っぽく、どうしてもなじめなかった。

あと、何と言っても、頻繁に出てくる詩の訳。これがきちんとできているところがこの版の最大の長所。

これは図書館で借りたので、ちくま文庫版だが、現在は注を足したり、補訂がほどこされた講談社学術文庫版が出ている。こっちはKindle版もあるのだ。値段は6,000円しないので、おトクだ。図書館で借りて、期限を気にして読むのもつらいし、Kindle版を買うかなあ。非常に悩む。