ドローンの世紀

井上孝司『ドローンの世紀 空撮・宅配から武装無人機まで』中央公論新社、2015


去年の10月に出ていたドローン=UAVの本。軍用UAVが中心だが、タイトルどおり、空撮や宅配用のシステムもカバーしている。

UAVの用途、制御、離着陸、空域共有、法的規制や社会的障害まで、ひととおりの問題を広く、バランスよく扱っている。あまり、大風呂敷を広げるようなことは書かず、現在と近い将来のことに限定して書いているので手堅い。

武装UAVも現在のところは、偵察監視任務に少し爆撃ができるようにしているにすぎず、敵の制空、防空システムがあるところでは活動できない。有人機が行っている攻撃任務を代替できるUAVは、現在できる見通しは立たない。あくまで限定された環境で補助として使っているだけ。

UAVの活動範囲を広げようとすると、通信速度や制御、規格や規制の共通化を図る必要があり、それはすぐにはできない。ぼちぼちと社会的、法的問題も含めて、システムを作っていくしかないという結論。

技術的な側面をちゃんと書いてあって勉強になった。図がもっと入っていればわかりやすさが増しただろう。