中年女子画報

柘植文『中年女子画報』竹書房、2015


去年の1月に出ていたマンガ。買うつもりはあったが、いずれKindleに落ちてくるだろうとおもいきやぜんぜん落ちてこない。あきらめて紙で買った。

作者柘植文が、不惑を前にして正しい中高年になるためにいろいろ体験してまわるというコミックエッセイ。カバーに著者の年表が出ていて、1973年生まれだって。まだ若いわ。

ホテルオークラのプールに行くというちょっとだけぜいたくなものから、高尾山に歩いて登る、綾小路きみまろのライブ、大阪、直江津、沖縄ツアー、能狂言、かつら、相田みつをなど、いろいろやっているのだが、一番インパクトが強いのは、終わりのほうに出てくる「街コンに行く」エピソード。

作者は一人で行くのだが、誰かわからない30代の女性と組にされ、二人組の男性が順番に回ってくるというもの。結局そこで会った一組と軽く2次会をして、社交辞令っぽいメールを一回出しておわり。作者はガツガツしていない人で、「でもやっぱりそんなのより自然に出会ってこう・・・」とか言っているので、そんなものか。

最後は描きおろしのエピソードで、作者が「中年式」をやるというもの。内容は東京大神宮に行ってお祈りをしてもらい、近所の写真館で写真をとってもらうというもの。これは楽しそうでいいな。

作者はぜんぜん中年の実感がなさげだが、いまどき40歳で自分が中年だと自覚している人なんか大していない。子供もいないと大人として振る舞う機会もないし。現実にそんな人ばっかりだから、それが普通なのだ。それでも作者はそれなりに社交性があって、一人行動も苦にならないので、じゅうぶんたのしめている。うらやましい。