勝海舟 総集編 前編
「勝海舟 総集編」前編
いま見ると、圧倒的におもしろい。特に勝小吉役の二代尾上松緑と、最初に勝海舟役を演じている渡哲也。ムチャクチャ上手い。渡哲也は、とにかく青臭いのだが、こんなはまり役はいないだろう。ペリー来航で、幕府に海防意見書を出すところから、松方弘樹に代わるのだが、途中交代は知っていても、相当違和感がある。渡哲也は無念だっただろうし、松方弘樹は非常に考えこんだはず。
二代尾上松緑は、無学でべらんめえ調のセリフだけなのだが、全部堂に入っている。さすがだわ。3分の2くらいのところで死ぬのだが、このドラマの前半はこの人のおかげで締まっている。昔の大役者は貫禄が違う。
そして、このドラマを傑作にしているのは、倉本聰の脚本。倉本聰は、NHKのスタッフともめて喧嘩別れしているのだが、後編にあたる部分の一部は、倉本聰作ではないことになっている。大丈夫なのか?しかし、特に勝海舟が世に出る前のエピソードが非常にいい。幕臣として公儀に忠節を尽くす勝小吉と、幕府から精神的に自立する勝海舟の対比が鮮明に描かれている。