首相支配

竹中治堅『首相支配 ─日本政治の変貌』中公新書、2006


細川内閣が潰れた後(1994)から、小泉内閣郵政選挙(2005)までの政治史と、この間に起こった日本政治の変化を整理した本。

当然議論の焦点は、政治改革、衆議院への小選挙区比例代表並立制の導入と政党助成制度の成立にあるが、それが実際に政治体制を変化させたのは2001年の小泉内閣誕生だったというのが著者の見方。

派閥力学で首相が決まるシステムから、世論で首相が決まり、首相が派閥経由ではなく、自分自身に対する世論の支持と選挙の公認権、資金の配分権をもとに自民党をコントロールするシステムができた。

著者がまとめた「2001年体制」の特徴は5つ。
政党間競争の枠組みができた。
首相の地位を獲得、維持する条件が変わった。
首相が保持する権力が強まった。
行政機構のあり方が変わった。
参議院議員の影響力が強まった。

政治改革の影響とそれ以後の政治的事件の流れを要領よくまとめているし、分析もまとまっている。小泉内閣以後も、構造は同じなので、本書の議論の延長線上で理解できる。良書。