ビスマルク
飯田洋介『ビスマルク ─ドイツ帝国を築いた政治外交術』、中公新書、2015
外交では3回にわたる戦争での勝利とドイツ帝国の成立、1870年代から90年までのヨーロッパ列強の関係の仕切りはビスマルクの業績。内政では、普通選挙、社会保険の導入、ドイツ帝国の基本制度もビスマルクの業績。2015年はビスマルク生誕200年でした。
ビスマルクは古いユンカー出身で、その価値観を持ち続けていた人だが、機会主義者で状況への順応性は高かった。しかし、ドイツ帝国成立の後、ひたすらヨーロッパ国際関係全体の安定を追求して揺るぎがなかったことはビスマルクがただの機会主義者ではなかったということ。
またビスマルクが偉人になるのは、彼が首相を辞めた後のこと。回想録が出版されていたとは知らなかった。翻訳はあるが、戦前の訳で、全3巻のうち最後の3巻目しかない。日本でのドイツ史の扱いはそんなものなのか。