石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?

岩瀬昇『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門』、文春新書、2014


著者は、1948年生まれ。元三井石油開発常務。三井物産で長年エネルギー畑にいた人。

石油と天然ガスを中心に、市場の構造、採掘や輸送、貯蔵の方法、エネルギーについての企業と国家の関係など、ひととおりのことが非常にわかりやすく書かれている。

日本でなぜガスパイプライン網がないのか、サハリンのガスをパイプラインで日本に持って来られないのか、疑問に思っていたが、この本でわかった。パイプライン網は、すでに需要地にLNG基地があるので整備する必要がない、同じ理由でサハリンにはすでにLNG基地があるので、日本にパイプラインを引く必要がない。

エネルギーの需給は単に世界全体でのことだけわかっていてもダメで、市場の構造や税制、技術などいろいろなことを知っていないとわからない。これがわかるのは、主に実務をやっている人。この本は、そういう意味で非常に役に立った。