乙女戦争 1

大西巷一『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』1、双葉社、2014


15世紀、ボヘミアのフス戦争のマンガ。こんなものまでマンガになるのか。しかも内容はエグエグだ。

冒頭から主人公(ローティーンの女の子)がレイプされる。女はみんなレイプされて、生き残るのは主人公一人。だいたい殺されて吊るされている。異教徒相手の戦いなので容赦はない。

結局主人公はフス派の軍に加わって戦うのだが、フス派も軍というよりは、子供でも女でも何でも寄せ集めた雑兵。ここで出てくるのが最初期の銃。単に金属の棒に穴が空いただけのもので、弓や弩に比べてもぜんぜん飛ばない代物。しかし、素人でも扱え、短距離なら鎧でも貫ける。

フス戦争と初期の銃砲史が並行して話が進んでいく。フス派の隊長ジシュカは食えない男。こいつも都合が悪ければ、味方でも殺してしまうような奴。そして敵側、皇帝でボヘミア王ハンガリー王のジギスムントはほとんど怪物のような男。この頃はまだ皇帝家はルクセンブルク朝。

后のバルバラもかなり食えない女。皇帝軍の騎士たちはほぼけだものレベルで、戦争は容赦なく展開する。

かわいい絵とエグい描写がまじりあって、なんともいえない味が出ている。まちがいなく読む気にさせるマンガ。