信じていいのか銀行員

山崎元『信じていいのか銀行員』、講談社現代新書、2015


山崎元の資産運用についての考え方本だが、この本は銀行に焦点があたっている。こんなに金利が低いのだから、銀行は商売苦しいはずだと思っていたら、投資商品を売って儲けている。それはいいが、銀行にはよい投資商品がない上に、顧客の資産状況を知っているから、顧客からカモれる立場にいる。非常に危ない話。

おもしろかったのは、職業としての銀行員についての話。銀行員に敵性があるのは、著者によると、1.大人になっても勉強が苦にならない、2.銀行内での出世を自分の価値観にできる、3.ストレスをがまんすることに自信がある。という条件を兼ね備えた人。銀行員は、序列の世界に生きている人で、採用時の人事評価がその後もずっとついてまわるので、一生それに縛られる。著者は、銀行員を「自分の人生を人事部に預金して生きている」と言っているが、そんな人生はつらいだろう。50歳で出向させられるのもつらい。著者は学生に銀行員になることをすすめないと言っているが、非常に納得。