遺族と戦後

田中伸尚、田中宏波田永実『遺族と戦後』、岩波新書、1995


これは便利な本。著者の顔ぶれをみてわかるとおり、まるっきり左巻きの人ばかり。従って、記述の間にちょいちょい入る著者の「左翼合いの手」は適当に聞き流せばよい。

しかしこのページ数(240ページ余り)で、遺族会の活動を一応カバーしている意味は大きい。なにせこの問題はまとまった本が少ないからだ。

当然文献リストもついており、この本の刊行時点までにどんな本が出ていたのかがわかる。例えば、日本遺族会の周年記念の本は、15年史、30年史、40年史と3回出ている(50年史が出ているのかどうかはわからない)。

著者の合いの手に目をつぶりさえすれば、ちゃんと使える本。ご労苦に感謝。