ひきだしにテラリウム

九井涼子『ひきだしにテラリウム』、イースト・プレス、2013


作家の初期作品集。ほとんどはショートショート。だいたいはweb連載作品。

絵柄はまだ完成されておらず、描線は荒い。ストーリーは、ちゃんと小技が効いている。「龍の逆鱗」、「TARABAGANI」は、ダンジョン飯につながるアイデアの片鱗が見て取れる。モンスターを食べましょうという作品。

基本はショートショートなので、発想メイン。それでも「代理裁判」、「遺恨を残す」とか、すなおにおもしろい。絵にはそんなにひかれないけど、作家の作っている世界の空気感が自分にとてもあっている。

この作品の時期に出会えていたら、きっとファンになっていたと思う。その出会いがむずかしいけどね。作家がここまで来るのが1日ではなかったとわかっただけでも読んでよかった。