昭和史 1926-1945

半藤一利『昭和史 1926-1945』、平凡社、2009


昭和元年から太平洋戦争敗戦までの昭和史。語り下ろし形式で16章プラス付録1章。大学の講義は15回あるから、だいたいそれに沿っている。

あとがきを読むと、聞き手は編集者で、オーディオブックにするための企画だったという。オーディオブックの方は実際に出ているのかと思って検索してみたら、あった。
CD18枚組のボックスセットで、38,880円。ちょっと聞いてみたい気もするが、全部は無理。しかし、元は講談のようなことを考えていたということなので、語ったものを聞くのはいいかもしれない。

内容は、この時期のことにずっと取り組んできた著者の仕事なので確実だろう。個々の史実が、ただの説明ではなく、当事者、同時代の史料に即して述べられているところは魅力。天皇とその側近、軍部に集中しているが、関係者の証言が食い違う部分、研究上問題になっている部分がどこで、どのような議論がされているかということも書かれている。

著者のアクの強さが出ている本だが、それくらいカラーが出ていた方が、わかりやすさという点ではいいのだろう。初版は2003年に出ていて、この版はノモンハン事件についてのエッセイを足した増補版。売れていないと、なかなかこれだけ長く書店に並ぶことはないはず。