未完の計画機

浜田一穂『未完の計画機 命をかけて歴史をつくった影の航空機たち』、イカロス出版、2015


浜田一穂=野木恵一の「実用化されなかった計画機」本。『月刊Jウィング』の連載を書籍化したもの。カバーしているのは、第二次大戦後の軍用航空機。

XB-70ヴァルキリーくらいとか、X-20ダイナソアくらいは見たことがあったが、詳細な計画は知らなかった。まして、ほかの飛行機は、見たこともないようなものばかり。計画機だから、詳しい人以外が知らなくてもおかしくはないが、ソ連版ヴァルキリーのスホーイT-4なんか全然知らないわ。よくここまで集めたなーと、ひたすらびっくりすることばかり。

しかも、図版が多く、最終案だけでなく、設計段階の図版も多数ある。どうやって集めてきたのか。プロの航空評論家はいろんなことを知っているのだ。

読んでいると、航空機が計画倒れになる理由は、技術的な問題でそうなることもあるが、むしろ用兵思想、戦略思想の変化で不要になったため放棄という例が少なくない。航空機開発は、ムダと失敗の積み重ねで、それがないと技術の蓄積ができない分野。日本はお金をケチっているから、うまくいかないのもあたりまえ。