持たない幸福論

pha『持たない幸福論 働きたくない 家族を作らない お金に縛られない』、幻冬舎、2015


ニートの歩き方』の著者、pha氏の新刊。もちろん、前著のときと全然変わらない生き方をしていて、ゆるくなんとかなっている。

4つの章があり、それぞれの章に「働きたくない」、「家族を作らない」、「お金に縛られない」というタイトルが振られているのだが、いちばん肝心なのは最後の章で「居場所の作り方」がタイトルになっている。

とにかくカネを稼げるようになれという価値観から離れないと自分で不幸になってしまう人が大勢出るよという著者の指摘は正しいと思うが、そのためにはそういう価値観から離れた自分の価値観と、それを支える人間関係を作る能力が必要。

著者は、人間関係の作り方も、あまりきついことを言わず、どうしても合わない人とは袂を分かって、適当にやっていくのがよしというが、これができているのはやはり著者の人徳。周囲の人となんとかうまくやっていく能力は、才能と努力でできているので、これができない人は結構多いのだ。

著者は、「自分は居場所を作る作業はずっとやってきた」と言っている。これはそれなりに手間をかけないとできないこと。「複数の場所に顔を出す」、「人の流動性を保つ」、「ゆるさを保つ」という著者のティップスは大事。何より「人の悪口はほどほどにする」というのが耳に痛い。