田舎暮らしはじめました

グレゴリ青山『田舎暮らしはじめました うちの家賃は5千円』、メディアファクトリー、2009


コミックエッセイ。著者自身が和歌山の田舎で暮らしていた時の「田舎暮らし」の記録。おもしろい。

和歌山のどこかははっきり書かれていないのだが、心斎橋に出るために、最寄り駅まで車で40分、そこから心斎橋まで電車で(車と書いてあるが、おそらく誤記)2時間とある。いちおう南海電車が走っているところらしいが、かなり山奥。下水道はない。家賃5000円でも、人が住んで管理してくれるだけありがたいので、家主は貸したいだろう。

著者夫婦が住んでいたのは築100年はありそうな古民家。引っ越しが大変で、家の前まで車が入れない。車がないとどこにも行けないようなところだが、車の出し入れに手間がかかり、車道から5分あるかないと家にたどりつけない。

便所は汲み取りなので、それで肥をつくっているが、その手順とか、虫対策、近所づきあい、噂話など、いかにも田舎でありそうなエピソード多数。

読んでみると、田舎暮らしができるのは、体を動かすことを厭わない人、草花が好きな人、何よりその土地が好きな人。生活コストが低いから住むというには大変すぎる。

ここに4年間住んだ後、著者夫婦は京都市内から1時間ほどのライトな田舎に家を買って引っ越すのだが、田舎好きな人でも、住むにはそのくらいの便利さがないときびしい。