情報の「捨て方」

成毛眞『情報の「捨て方」 知的生産、私の方法』、角川新書、2015


著者の情報収集についての方法論。情報を「捨てる」という意味は2つあり、1つはつまらない情報は意図的に遠ざける、関わらないようにすること、もう1つは本当に覚えておかなければいけないこと以外は忘れて、必要な手がかりだけ頭に残しておくこと。

ウェブニュースは「NHKニュース」と「47NEWS」を1日2回チェックするだけにしておけ、新聞は読まず、新潮社の「Forsight」電子版、「Newsweek」、「Economist」、「Natureダイジェスト」しか見ない、テレビはBS(NHKの「国際報道2015」など)中心に見る番組を絞れ、ウソ情報が多いサイトは見るな、バカはブロックしろ、というティップスが並ぶ。だいたいは納得できるもの。

後半は、情報の咀嚼、生産、活用についての方法。これもだいたい納得。著者はHONZというノンフィクション中心の書評サイトによくレビューを書いているが、よく整理するためには他人に向けて発信するべきだからというのが書いている理由。

著者はマンガは読まないと断言していて、そんなくだらないものを読んでいるひまがあれば、有意義なことに時間を使うべき、そもそもトマ・ピケティやマイケル・サンデルがマンガなんか読むか?と言っている。外国と日本ではマンガの位置づけが違うからそんなことを言っても仕方がないと思うが、著者も「AKIRA」と「攻殻機動隊」はほめている。

巻末にある「私の情報個人史」(マンガのくだりもその中にある)は一番おもしろかった。子供の頃に8巻本の百科事典を繰り返し通読したと言っている。