日本海軍の本 総解説
海軍史研究会(編)『日本海軍の本 総解説 伝記・戦記・歴史・記録・回顧録の名著全展望』、自由国民社、1985
「伝記・人物論」、「戦記・従軍記」、「日記・回想録」、「海軍生活記録」、「日本海軍草創期」、「海軍通史・評論」、「海軍技術・報告書」のパートに分かれていて、海軍史の主要な分野に幅広く目配りされている。
編者は、「海軍史研究会」となっているが、巻頭に全員名前が出ている。関野英夫、戸髙一成、土肥一夫、中村義彦、野村実、半藤一利、山本正治ほかの名前が出ていて、元海軍軍人や歴史家で名前が残った人が大勢いる。
本の選択も、公刊された本だけでなく、自費出版、非売品、絶版本など、入手しにくい本までカバーされている。これは、国立公文書館や史料調査会、防衛研修所(研究所)、個人のところにいかないと読めない。そういうものが「ありますよ」ということを教えてくれるだけでもありがたい。
内容は、歴史として容赦なく批判されていて、内輪褒め、失敗の隠蔽、政治的配慮による曲筆など、ガンガン指弾されている。もはや1985年になってしまえば、存命者に配慮する必要も少なくなっていたのだろう。それでも、まだ生きている人がいた時で、旧海軍を直接知っていた人はこの頃までしか生き残っていなかったのだから、非常に貴重。
同じ体裁で陸軍編も手に入れたので、後でゆっくり読む。