ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢

ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢」、ニック・パーク監督、イギリス、2008


ウォレスとグルミットの一番新しい作品。といっても、2008年なのでずいぶん前だ。それでも出来はこれまでのシリーズ作品にまったく劣らない。

今回のウォレスのしごとはパン屋。またまた偶然に、ウォレスは、近所の美人パイエラのピンチを救ったことで、ウォレスがパイエラに一目惚れする。しかし、グルミットはパイエラのアクシデントに怪しいところを見つけていて、パイエラがパン屋ばかりを狙う殺人鬼だと見抜いてしまう、というおはなし。

ウォレスのパン工場のしかけが非常にすごい。このアイディアをつくり終えた時点で半分作品はできたようなもの。あとは、パイエラが仕掛けた罠をグルミットがどう乗り切るか、パイエラの愛犬フラフルス(悪人の飼い犬でも、こっちはいい犬)がどうやってパイエラと戦うか、爆弾がいつ爆発するのか、いろんなネタが渾然一体で、スピード感いっぱいで話が進行。

フラフルスがフォークリフトみたいなメカでパイエラと戦う場面は、「エイリアン2」のパワーローダーからの借用だろうか。手袋をかぶせたアイディアがしゃれてる。メカとパイエラの空手?はシリーズ屈指の名場面。

最後にはちゃんと悪は滅びるし、グルミットにはちゃんといいことがある。車のオーディオがアナログレコード方式になっているところなど、小技もきいている。勧善懲悪にしておいて、いい気分で話を終わらせている。傑作は完成度高い。