日本美術応援団 明治工芸を応援する!in 山口

「日本美術応援団 明治工芸を応援する!in 山口」、山口県教育会館大ホール、2015.3.21


山口県立美術館の展覧会「超絶技巧!明治工芸の粋」の関連イベント。展覧会監修者の山下裕二と、いっしょに「日本美術応援団」プロジェクトをやっている井浦新が展示品をさかなに話をするもの。

山下裕二は、この展覧会を仕切っている人だから、細かいところまで目が行き届いているのも当然。井浦新NHKの「日曜美術館」で、この展覧会(東京展)を紹介したときに、実際に展覧会場に出向いて解説をしていたから、これも内容を把握している人。

山下裕二トークがおもしろいのはわかっていたので、驚かないが、井浦新の話が訥々としていて、非常によし。ベストの一作としてあげていたのが、白山松哉「渦文蒔絵香合」。「主張していないのに、主張している」と表現していたがそのとおりで、小さい香合に、1ミリ以下の線で渦を入れている。この線の幅と揃い方は完璧。目の付け所も、表現のしかたも、専門家に認めさせるだけの力がある。伊達にこの番組の司会者はやってない。

山下裕二は、展示品や、現代作家の超絶技巧作品を「バカですね」と言っていたが、これはバカにならないとできないという賞賛。バカをきわめたところに超絶技巧が生まれるということ。空手バカ一代のアニメで、「人はバカだと笑おうが、この世にリコウはあふれてる」と言っているが、それだ。

山口でも、このイベントはすぐに満員になっていた。女性が多かったが、井浦新のファン多し。赤瀬川原平なき後、日本美術を広めるのはこの二人。