あゝ同期の桜

あゝ同期の桜」、鶴田浩二松方弘樹ほか出演、中島貞夫監督、東映、1967


東映の戦争映画。特攻隊もの。同名のテレビドラマが先行しているのだが、テレビドラマの放送と同時期に公開されているので、制作は並行して行われている。

キャストは非常に豪華で、鶴田、松方のほか、高倉健千葉真一夏八木勲西村晃など、とにかくたくさん出てくる。同じ東映制作の、「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊」と、「あゝ予科練」を先に見ているのでストーリー展開はかなりかぶっているのだが、この作品が一番先。

海軍予備学生(飛行科)は、昭和18年から大量採用されたが、この話は、昭和19年採用の期のもの。予備学生は最初、二等水兵として本籍地別に海兵団に入れられて訓練されたので、その場面から。

海兵団のしごきは、他の2作より、この映画が一番ねちっこく描いている。しかし見ものは、訓練を終えて、宇佐海軍航空隊に入隊した後の話。すぐに特攻作戦が始まるのだ。

夏八木勲が、出撃した後で生きて帰ってきてからの航空隊司令や参謀のイジメはかなり露骨。鶴田浩二が憤然と反論しているが、「特攻隊の気持ちは特攻隊にしかわからない」というだけでは、あまり反論になっていないような。理屈じゃないということか。

最後は、鶴田浩二以下、みんなで出撃。特攻機を撮影したアメリカ軍のフィルムが映っているのだが、被弾した特攻機の絵にかぶせて「その瞬間 彼等はまだ生きていた」「この時から僅か四ヶ月 戦争は終わった」と文字だけが出ておわり。これはインパクトのある演出。