夜の帳の中で
吾妻ひでお『夜の帳の中で』、チクマ秀版社、2006
絵柄も今とは少し違い、女の子の目や、髪型、体型も違うから、最初に見た時はとまどった。目の中の輝きの入れ方が、いまより小さめで、これだけでずいぶん印象が違う。とはいえ、吾妻ひでおの女の子はやっぱり可愛い。
女の子の体型もだいぶ細め。昔はむちむちした女の子は受けなかったのか?それとも、単に作家の好みが変わったのか?
川又千秋原作の「ぬいぐるみ」という短編が入っていて、これが特におもしろい。アイディアがいいし、主人公の男性の暗さも魅力的。作者自身は、あとがきで「暗いのはもともとうつだからです」と書いている。
このあとがきで、ナンセンスギャグを書き続けるのは心を病むとあるが、ただ読んでいる分にはほんとうにたのしいわ。妄想の翼をひろげられるので、何回読んでもあきない。絵柄はかわいいし、気持ち悪いのに、エグくない。これは吾妻ひでおにしか出ない味。