ジョルジョ・デ・キリコ展

ジョルジョ・デ・キリコー変遷と回帰ー」、パナソニック汐留ミュージアム、2014.12.19


汐留にあるパナソニックの美術館で、キリコの展覧会をやっていたので観てきた。18時までやっている美術館は、他にあまりないので、覗いてきたというもの。

この美術館はかなり狭く、あまり大規模な展覧会はできない。この展覧会も、かなり間隔を詰めて展示してあって、見ていてやや息苦しい。

それはそれとして、肝心の絵の方だが、キリコのトレードマークの「形而上絵画」というものがまずよくわからない。遠近法や影が使われているのに、ほとんど奥行きが感じられない絵。よく見ると、絵の左右で遠近法がずれているし、影の長さもおかしい。当然わざとそのように描かれているわけで、見ている人を気持ち悪くするようになっている。

昔の下手糞アニメや、子供の絵のような平板な絵。なんとなくザワザワすることは確かだが、どこがいいのかというと全然よくわからない。

非常に良かったのは、画家本人の自画像。本人の写真も展示されていたので、デフォルメがあまりされていない、本人そのものということはわかる。非常に目力の強い、強い意志と印象が感じられる絵。母親と自分を一緒に描いたものや、妻と自分を一緒に描いたものもある。マザコンぽくもあるし、いい感じにキチガイな絵。

古典主義や、古代の馬など、古い描きかたや画題を描いたものは面白かった。しかし基本的には、この絵描きのなんともいえない気持ち悪さが好きになれないと、楽しく見ることはできない。