都築響一トークショー 写真と絵画の発見伝

「写真と絵画の発見伝」、都築響一、IMA Concept Store, 2014.12.18


都築響一トークショー、絵画と写真についてということだったので行ってきた。場所は六本木の、ほぼ飯倉に近いあたり、AXIS ビルというところ。ここの3階に写真の専門書店があった。そこのスタジオスペースを使ってのトークショー。客はだいたい30人くらいか。

最初はいつもの通りの、「投稿ニャンニャン写真」ネタ。これはもう何度も聴いているので、またかいと思っていたら、今回も色々と新ネタがあった。

絵画と写真というタイトルだが、最初のところで、もう写真と絵画の区別なんてない、と宣言しておいて、あとはだいたい面白い素人写真のはなし。

相変わらず笑わせてくれるネタがてんこ盛り。特に面白かったのは、鉄道に女の子がひたすら写りこんでいる写真を撮っている人と、「写真というのは、たくさん撮影したものの中から傑作を1枚生み出すこと」だという、プロのアドバイスを全く無視して、「傑作などなくていいので、ひたすら数を生み出すことだけが自分の写真だ」と宣言してその通りにやっている人の話。

振り切っているアマチュアの写真は、基本的におかしいのだが、プロには絶対できないような種類の作品が出来ている。そっちの方がプロの綺麗な写真よりもいいでしょ、という話。

終わりの方では、チンパンジーがシャッターを押した写真(これはオークションで4万ポンドの値段が付いていた)と、Google ストリートビューのおもしろ写真をひたすらピックアップし続ける人、フォトショップの加工で偶然できてしまったおもしろ写真の話。もはや人間が意図してとった写真ですらなく、チンパンジーやロボット、フォトショップが勝手に面白い作品を生産している。

作品は面白くしようとして面白くなるものではなく、面白さの神様が降りてきたところにしか生まれないという話。都築響一の眼が、面白さの神様を引っ張り出しているのだが、これはちゃんとした目を持っている人にしか見えないもの。1時間半たっぷり楽しめてよかった。