新作能 紅天女の世界

氷川まりこ(美内すずえ監修)『新作能 紅天女の世界』、白泉社、2006


題材になっている能「紅天女」が来年の2月に廿日市市のさくらぴあで上演されるので、それを見に行くかどうかを決めるための材料として読んでみた。

予想に反して、けっこうおもしろい。

紅天女」を能にするというのは、発想として、いいもの。現代劇だと、どう転んでもいろいろ文句がつきそうだが、能は多くの人にとってよくわからない世界だし、そもそも女優が普通に演じる芝居ではないのだから、原作のイメージを壊すこともない。

この本に載っているのは、能「紅天女」の台本、マンガ「ガラスの仮面」での「紅天女」の扱い、能の基本的な決まり事、国立能楽堂での初演時のスタッフ、キャスト、梅若六郎美内すずえの対談、新作能ができる過程、といったもの。

能を知っている人にはそれなりにおもしろいのだろうが、能を知らない者が読んでも、知らないなりにおもしろい。舞台や衣装の写真も載っているので、目で見ても楽しめる。

この台本を読んでみると、2時間かかるということはなさそう。おそらく90分以内で終わるのではないか。何度も各地で再演されているので、それなりに人気のある舞台だろう。かなり舞台に行こうという気になってきた。問題は、舞台が「さくらぴあ」の大ホールだということ。能には大きすぎる。おそらく後ろのほうからだと、何をしているのかよくわからないはず。いい席が取れるかどうかが問題。