ごんぎつねが語る昔の暮らし

「『ごんぎつね』が語る昔のくらし」、広島市郷土資料館、2014.11.28


この施設には初めて行った。目立たないところにあるきれいな施設。原爆以前の広島の歴史を見せるための資料館。建物は、宇品にある、旧陸軍糧秣支廠缶詰工場。明治44年(1911)に建てられたものだが、非常にきれい。このあたり(宇品二丁目付近)は、原爆の爆風をかぶってはいるが、建物には大きな被害はなかったので、ここも昔の姿でちゃんと残っている。

当時は、牛肉の大和煮の缶詰を作っていたところ。牛肉の大和煮は、兵食として広く普及していて、兵士からの人気も高かったから、相当の需要があった。昔、この知覚で飼われていた牛や、大和煮の製造工程の写真もある。

この展示は、企画展で、新美南吉『ごんぎつね』を題材にして、そこに出てくる昔の生活と道具を実物で紹介するというもの。ここは、中世以来の広島の伝統的な仕事を紹介するのが主な役割なので、そのための展示。

『ごんぎつね』のストーリーが抜粋して展示されているが、兵十の描写で、昔の田舎の生活がよくわかるようになっている。新美南吉は、愛知県の人だが、ごんぎつねは、小学校の国語教科書に載っている定番作品なので、誰にもなじみがあるのだろう。