左翼はなぜ衰退したのか

及川智洋『左翼はなぜ衰退したのか』、祥伝社新書、2014


あまりにも内容がない本。びっくりした。こんなもの、ふつう出版するかな。

著者は朝日新聞記者、1966年生まれとあるが、40歳をとっくにすぎてこの内容か?編集者は何もしてないでしょ。

最初の章に右翼と左翼の軸を、歴史認識問題、靖国神社参拝問題、国旗国歌・教科書問題、憲法9条改正、再分配、男女の役割分担、福祉と増税をネタにして説明している部分があるが、まず、これらの問題について、「右翼」「左翼」でも必ずしも一貫した態度を持たない人がいるし、それは自民党民主党の議員であっても同じ。逆にこれらの問題の全部について、著者がいう「右翼」「左翼」としての一貫した態度を持っている人がいたとしたら、それはかなり極端な立場である。しかも、それぞれの問題が、右翼、左翼の判別にどのくらい重要性があるかも示していない。歴史認識や近隣諸国との関係を強調しすぎ。

この程度の問題について、ちゃんとした認識ができていないということは、残りも全部ダメ。実際、明治以後の日本の歴史を薄くなぞったような本になっている。ほとんど分析らしきものもない。

朝日新聞もいろいろと旗色が悪いが、著者は朝日新聞記者の肩書をこんなところに使っちゃ、朝日の評判が別の意味で悪くなるでしょう。本を書こうというのだったら、ちょっとは考えてからやらないと。