菱田春草展

菱田春草展」、東京国立近代美術館、2014.9.28


何か見るものがないかと思っていたら、東京国立近代美術館で、この展覧会をやっていたので、行ってきた。

朦朧体という言葉で有名になってしまっている感があるが、朦朧体はあくまでも一時の作風で、その前と後はちゃんと輪郭線を描いているし、頻出する猫も、必ずしも猫好きだから描いたというわけではなかったらしい。

とにかくいえることは、上手いということ。まだ美校の学生だった時からうまい。若い時からこれだけ描けたのだから、周囲が将来を嘱望するのも当然だし、母校に残れたのも当たり前。

しかしそれでは終わらなかったところが春草の運命というもので、岡倉天心が美校をやめてしまい、それに付いていってからは、給料はもらえないし、絵を描いても売れないし、さらに絵を描いてもろくな評価が来ないという散々な人生。

それでも描いて、ようやく認められるようになってから、それほど時間が経たないうちに、病気になって36歳で死んでしまったという人生。

36歳で亡くなっていて、これほどたくさんの絵が残っているのだから、とにかく描きまくっていたということ。日本美術院に行った人は、画力もそうだが、パワーが並大抵ではなかったのだ。

展覧会は、菱田春草の主要な作品はほぼ集めている。よっぽど図録を買って帰ろうかと思ったが、荷物になるし、場所取りだから、図書館で雑誌を見ればいいやと思ってやめといた。しかしこの展覧会は掘り出し物。後半は、展示替えがあるので、うまく機会があったらまた行きたい。