貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

ジェーン・スー『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』、幻冬舎、2014


ジェーン・スーの2冊めの本。1冊めの『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』を上回る傑作。先週のご本人がパーソナリティーをしているラジオ番組で、もう3刷と言っていた。おもしろいから売れて当然か。この前、朝日の書評欄にも水無田気流が取り上げていた。

表題になっている最初のエッセイ、「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」からして、非常に惹きつける内容。「女子とは、年齢のことではなく、考え方、気の持ちようですよ」というネタをイヤミなく語っている。自慢でなく、卑屈でない、真ん中の王道を歩いてちゃんと言いたいことを言える人は、探してもそうたくさんはいない。

この本を読んでいくと、著者が自分の「老化」(といっても、40歳をすぎたばかりだが)について、正面から向き合っているところを、とてもいさぎよく感じる。「女子魂」は、年齢の自覚と折り合えないことがあるものだが、著者は、そういう時期を通り越して、年をとって、女子魂を失わない境地に到達した。これは達人でなければできないこと。

他のエッセイも、年をとった父親との関係(著者の母親は早くに死去)、男社会で女が働くということ、「おばさん」「BBA」と呼ばれること、どれも深刻な話になりそうなネタを扱っていて、実際に笑い話ですまされないことを書きながら、読んでいて気分が沈まない。ほとんど至芸の域に達している。

ひとつ気がついたが、この本には著者の写真がない。前著にはあった。そんなに美人というわけではないが、十分見られる写真だった。著者は自分の外見をさんざん自虐ネタに使っているが、やはりあまり見せたくないと思っていたのか、それとも写真で宣伝するのを潔しとしなかったのか、わからない。著者のエッセイはこれからも出ると思うので、どの本にも著者近影を乗せてほしかったが。