横浜トリエンナーレ2014

横浜トリエンナーレ2014」、横浜美術館ほか、2014.8.25


8月から始まった展覧会、もののためしにと行ってみた。けっこうたのしめる。

森村泰昌が展覧会全体のディレクターをやっていて、音声ガイドも森村泰昌ご自身が吹き込んでいる。この音声ガイドは当たりで、このおかげで非常に楽しめた。たいてい、展覧会の音声ガイドは俳優や女優が吹き込んでいるのだが、そんなギャラの高い人をわざわざ動員する理由もないわけで、現代美術は実作している人がいちばんわかっているのだから、こっちの方が断然わかりやすい。

横浜美術館の全部と、そこからちょっと離れたところにある新港ピアという倉庫みたいな場所、馬車道近くの「バンクアートスタジオNYK」、黄金町の施設、この4カ所が会場。全部入れるチケットを買ったのだが、馬車道と黄金町の会場は、時間が足りずに行き損ねた。

とはいえ、さいしょの2カ所でおなかいっぱい。テーマ設定は、「華氏451度の芸術 世界の中心には忘却の海がある」というもの。展覧会のスタッフはみんな「忘却」と大きな字で書かれたTシャツを着ている。

笑えたのは、アンディ・ウォーホルが描いたという精液を混ぜて描いた絵。天才は何をやっても許されるのだ。無名の人がやれば、キモイで終わるところ。

釜ヶ崎芸術大学という団体の展示物もおもしろかった。大きな一部屋を全部使って、自分たちの活動(カフェをやりながら、人を集めていろいろな催しをするもの)を展示しているのだが、参加者への注意書きで、「飲酒している人は来ないでください(酔いがさめてからきてください)としつこく書いてあるのが笑えた。あいりん地区なのだから、みんな昼間から飲んでいるのがあたりまえ。そんな人たちの相手をするほうも大変だ。

やなぎみわの巨大な可動式舞台もおもしろかった。電飾がキラキラしていて、こんなものをどうやってひっぱるのか、見当もつかないが、動かす時にはバラして運ぶのだろう。これはただの展示品ではなく、実際にこの上で芝居をやることを想定したもの。この芝居はかなり見てみたいが、都合が合うかどうか。

音声ガイドは横浜美術館の方にしかないのだが、これを聞いているだけで50分近くかかったような。足立正生が脚本を書いた映画(撮影したのはどこかの外国人)もあったが、これは長すぎて寝てしまった。2日間あれば、フルでたのしめたかもしれない。