ヤンキー人類学

「ヤンキー人類学」、鞆の津ミュージアム、2014.5.25


トークショーとは別に、「本体」になる展覧会も見てきた。こちらもおもしろい。

展示品は、相田みつをの書、デコトラ(小さいサイズだが、「本物」が展覧会場の一角においてあった)、デコチャリ、改造バイク、デコトラの紙製ミニチュア、成人式用衣装、「黄金の茶室」(豊臣秀吉の「アレ」を金の折り紙で小さいサイズで再現)、パチンコ台、ラジカセ、携帯電話のデコレーション、などなど。非常に味が濃い。

とにかく、作成者の「自分を表現したい力」が強烈。デコチャリや、改造バイクは、「全く実用性に欠ける」レベル。あれではまともに走れない。兜の前立てとちょっと近いと思うが、ひたすら「目立ちたい」ためだけのもの。普通の造形美術よりも、表現の方向が直線的な分、ストレートに伝わってくる。

雑誌「メンズナックル」とか、まったく知らなかったが、見せられるとわかる。こういう服を着ている人は山のようにいて、単にこれまでこちらの目に入っていないだけ。

このヤンキーの自己表現は、仲間内にだけ発信されているので、興味のない人には単なる悪趣味で片付けられるようなもの。この展覧会のように、ちゃんと並べられないとわからない。メッセージというのは、受け取る方にその用意がなければ素通りされてしまうのだということを痛感する。

これをいくら見ても、「自分がこういう格好をしたい」とは全然思わないので、そういう意味ではまだメッセージは取り逃しているのかもしれない。しかし、わかっている人がちゃんと説明してくれれば、そのおもしろさはわかる。ヤンキー文化はおもしろいし、その理由は自分の中にもヤンキーと共有する部分があるということだ。