現代アートの本当の学び方

フィルムアート社(編)『現代アートの本当の学び方』、フィルムアート社、2014


美大志望の高校生、予備校生、美大生、美大を出ていないけどアートをやりたいですという人用の、現代美術を制作する人のための本。

1つずつの記事はかなり短いものばかりなので、そんなに大したことは書いていない。おもしろかったのは、日比野克彦会田誠の対談。これはけっこうページを取って載っている。それによると、「アートで食べるということは考えずにやっていけ」ということ。現実に美術でも音楽でも、仕事は別に持っていて、制作している人がほとんどなのだから当たり前といえば当たり前。

一方で、美術で食べられる人が少ないのは日本特有で、外国では金持ちが美術作品を買うのが普通なのに、日本ではそれがないから、よけいに食べられないということも言っている。それもそのとおり。美術でも音楽でも、商業的に売れているもの以外は、日本では古いものしか愛好されていない。これも仕方ない。

この対談記事以外は、美大美大予備校で何を教えているのかをちょっとだけ覗き見できたのが収穫。最後の部分に、現役、卒業済の美大生、美大志望の浪人生の座談会がちょっと載っているが、別に悲壮感はない。最初から自分がアーティストになれると思っていないので、わざわざ悲壮感を持つまでのこともないということ。制作を続けていければいいとは思っているが、現実にそれがむずかしいこともわかっているのだ。

35冊の文献解題がついていて、これは便利。