拳銃・小銃・機関銃

ジョン・ウィークス(小野佐吉郎訳)『拳銃・小銃・機関銃 日独伊・米英ソ歩兵兵器』、サンケイ新聞出版局、1972


これもサンケイの赤本こと、バランタイン第二次世界大戦ブックスの1冊。同じシリーズの『大砲撃戦』と同じ著者で、セットになっている。原題は"Infantry Weapons"で、歩兵の扱う兵器のうち、拳銃、短機関銃、小銃、突撃銃、機関銃を扱う。持っているのは、1974年刊行の13刷。非常に売れていたのだ。

この本のメリットは、枢軸側と連合側の歩兵兵器を、短いページ数で全体的に概観していること。当然米英ソとドイツが中心だが、イタリア、日本、フランスにも言及している。各国の小火器を横に並べて概観するには便利な本。

著者は、イギリス陸軍大学教授で陸軍中佐。小火器の専門家なので、記述は確実だろう。兵器の性能だけでなく、戦場での実績や生産過程の問題についてもきちんと言及されている。

短機関銃や突撃銃の革新性、機関銃の重要性、主兵器としての小銃の位置づけなど、基本的なことを再認識させられて、勉強になった。ドイツの兵器の優秀性は傑出している。ヒトラーが無用な口出しをしなければ兵器の更新はより効率的にできたはずという記述にも納得。

これに比べると、日本は、工業生産力が小さいのに、兵器の統一化と量産性にほとんど注意を払っていないように見える。著者も、日本の小火器が、銃においても弾薬においてもあまりに多様なので、その紹介に戸惑っている。兵器生産を全体的に管理することができず、非効率的なことしかできなかった国の悲劇。訳者があとがきでその点にきちんと言及していないのは残念。