嬉野観光秘宝館のお葬式

「嬉野観光秘宝館のお葬式」、都築響一トーク)/ 前野健太(ライブ) / 倉地久美夫(ライブ)/ 渚ようこ(ライブ)/エルナ・フェラガーモ/デリシャスゥイートス(チャーマァ&竹部さん)/ハレンチ4(フォー)、嬉野観光秘宝館、2014.4.20


佐賀県嬉野市にある、この施設が2014年3月いっぱいで閉館したのだが、その記念イベントが、秘宝館を一日貸切で開かれたので行ってきた。

とにかく広島から行くと、遠い遠い。新幹線で博多まで、そこから特急で武雄温泉まで、さらにバスに乗り換えて20分近く行くと、バス停のまんまえにその施設はあった。看板もハゲていて、施設はボロボロ感がただよい、こんなところが1ヶ月前には営業していたということにびっくりするようなもの。

このチケットは、発売早々に売り切れていて、自分はイベントがわかった時点で即予約したからよかったようなものの、行けなかった人も多かったようだ。しかも、遠く、東京、大阪、長野などから来ていた人もいたという(都築響一談)。とはいえ、大半の人は車で来た、比較的近辺(だいたい福岡)にお住まいの方。駐車場は、満杯だった。

まず都築響一氏のトークショー。これはだいたい1時間。とにかく比較的狭い部屋に客をぎゅうぎゅう詰めているので、外は肌寒いのに、中は暑いことおびただしい。内容は、秘宝館そのものについての内容もあったが、比較的エロにからんだネタでまとめていた。2月に広島のヲルガン座でやったトークショーと3分の1くらい内容がかぶっていたが、これは仕方ないか。毎回全部新ネタというわけにもいかないだろう。

それから30分ほど施設見学の時間がとってあり、その間にひととおり内部を見ることができた。秘宝館にありがちな、電気で等身大の人形が動くギミックがいっぱい。ここは比較的規模が大きいので、ギミックの数も多い。最後の部屋に「ハーレム」という大規模な部屋に噴水とプールをつけて、トルコのスルタンが女たちと遊んでいるギミックがどかんと出てきた。このスペースだけでも維持にかなりのコストがかかっていたはず。水を使う施設はいろいろと面倒なのだ。

売店では、即売会があり、たくさんの人が並んでいたが、あんなもの買ってどうするの?と首を傾げるようなものが多数。買った人たちも、たぶん後で置き場所に困るだろう。

その後がライブ。さきの「ハーレム」というスペースを舞台にして、音楽をガンガンやるというもの。このスペースは2階建てで、階上からも舞台が見えるからちょうどよいところ。しかし椅子を置く場所はないので、みな立ち見。アナウンスがあって、「2階の手すりはかなりガタが来ていて、寄りかかると倒れて大惨事ということにもなりかねないから、そういうことはやめておいてください」というお話が。

最初に出てきたのは渚ようこ。この人は、たぶん30代くらいではないかと思うが、まるっきり昔の歌謡曲を歌う人。バックダンサーまでついていた。この施設の雰囲気にはぴったりで、なかなかに楽しめた。女装のドラッグクイーンも登場。

しかし、わたしはここで退散。なぜならライブが全部終わるのは6時で、そこから帰るとなると、広島に着くのは22時くらいになってしまう。それはいくらなんでも勘弁だ。よって、この後の前野健太倉地久美夫の部分は聞いてない。近場から来ていた人は、最後まで楽しんだだろう。

今回よくわかったが、秘宝館などというものは、それが多少物珍しかったとしても、遠いところからわざわざ来るものではないのだ。今回はトークや音楽のイベントが入ってお祭り状態になっていたので、まだ来る価値はある。しかし、この施設を見に来るためだけに遠くから来るのはきつすぎる。それはよほどお好きな方でないと不可能。

秘宝館が「団体客が旅行の中心だった1970年代から80年代までに流行っていたもの」という話は、今回よく理解できた。これは誰もいない時に一人で来ても、おもしろくないのだ。近くの温泉あたりに来た客が何人か連れ立って、くだらないことを話しながら来るための施設。団体旅行がすたれれば、もう命脈は持たない。今回は、これだけが目的だったからかなり辛かった。もともt武雄温泉や嬉野温泉でのんびりすることが目的なら、それなりに笑いのネタとして楽しめただろう。

もう5月には解体が始まるとのこと。秘宝館のお葬式という空前絶後のイベントに立ち会えたのはよかった。