ホームレス大博覧会

村田らむ『ホームレス大博覧会』、鹿砦社、2013


著者は、ホームレスネタでマンガを描いている人。この本がホームレスネタの本としては4冊目。しかし、1冊目の『こじき大百科 にっぽん全国ホームレス大調査』、データハウス、は抗議されて絶版、2冊目の『日本全国 ホームレス大図鑑』、竹書房、も抗議(同じ団体から)で絶版。かろうじて3冊目の『ホームレスが流した涙』、ぶんか社、のみ絶版を免れている。しかし、これは「泣けるネタ」の本なので、あまり読む気はそそられない。ホームレスをネタにした本は、変なところからクレームが付く危険性が高いのだ。

この本は、著者得意の、ホームレス取材本。主に、『漫画実話ナックルズ』での連載マンガを中心に、西成、あいりん地区と山谷、上野の特集ルポや、ホームレスの衣食住、仕事、敵なんかをまとめてあって、確かに「ホームレス大博覧会」になっている。巻末の方には、「ホームレス トレーディングカード」という名前でホームレス46人の写真入り(目にはボカシ)カードつき。

ホームレスといってもいろんな人がいるわけだが、路上生活はやはり基本的にきつく、気持ちもすさむもの。読んでいる分にはおもしろいが、取材はたいへんだ。まあ慣れればできるわけだが、著者のルポを読んでいると仕事とはいえ、これはやりたくない(単に話を聞くだけではなく、ホームレスと同じように野宿もしている)。

ちゃんと家がないというのはとにかくつらい。それに酒を飲んだりタバコを吸ったりするには現金がいるので、ホームレスも働かなければならず、この仕事=アルミ缶回収や古紙回収が非常に安い収入にしかならない。時給700円のバイトなどよりもはるかに割りが悪い。これでチンピラやサラリーマンに襲われたり、足蹴にされたりするのだから、やってられない。

このネタはサブカル系雑誌ではそれなりに人気があるので、それなりに仕事は来るとのこと。著者はこれからもホームレス取材を続けると言っているので、次回作にも期待。