仕事文脈 vol.1

『仕事文脈』vol.1、2012


これは中野のタコシェで見つけたミニコミ誌。背表紙には「ダメ人間 vs. ヤバイ就活生」とあったので、勢いで買ってしまった。しかし読んでみたらこれがおもしろい。50頁くらいの雑誌だが、買ったものは3刷。1刷で何部刷っているのかはわからないが、こういうミニコミ誌で、増刷がかかるというのはなかなかないのでは。

自分として惹かれた記事は、石嶋未来「ダメ人間がフリーランスになって1日で1ヶ月分を稼ぐ方法」、近藤祐子「近藤祐子がメチャクチャにヤバイ就活生になって学んだ就活術」、佐野和哉「無職の父と、田舎の未来について」、國米哲郎「最小で最強!この小さい稼ぎと暮らしの潔さを見よ」あたり。

「ダメ人間がフリーランスになって1日で1ヶ月分を稼ぐ方法」は、ウェブデザインの会社で10年ガマンして、結局フリーランスになったら、会社にいた時のストレスがかなり減ったという話。最小限食べる分だけ稼げばいいと考えれば、そんなにギシギシ働かなくていい。朝起きられないのも、問題なくなるという話。ちょっとほっとする。

「近藤祐子がメチャクチャにヤバイ就活生になって学んだ就活術」は、読んでから気がついたが、この人、一時期はてなブックマークで非常に注目されていた人。自分のホームページを作って、そこで自己アピールして就職活動に役立てるという手をやった人だ。結局内定は1社とれたが、給与が低いのでその会社には行かなかったとのこと。しかもウェブで近況を見ると、結局フリーランスになっている。記事には、奨学金を返済しなければいけないので、そこそこの収入が必要と書いているが、だいじょうぶなのだろうか。

「無職の父と、田舎の未来について」は、自分の父親がうつ病から会社を辞めて無職になり、失業保険と母親の稼ぎでまだなんとかなっているが、失業保険が切れたらどうすればいいのか、という非常に深刻な話。うつ病だから、仕事に簡単につけない、しかも田舎(北海道の田舎)なので仕事自体がないということ。これはきついわ。ネットに投稿して返ってきた反応もまとめられている。もちろん、簡単には行かないようだ。それにしてもこの執筆者の親孝行なことにはびっくりだ。

「最小で最強!この小さい稼ぎと暮らしの潔さを見よ」は、東京で一人暮らし、月に10万円の収入、5万円の支出で生活している人の話。月収10万円はあると思うが、支出5万円なんて、生活できるのかと思ったら、できるのだ。土曜日の都築響一トークショーで、2ヶ月に46000円の年金だけで生活している人が紹介されていて、いくら持ち家とはいえ、月に23000円ではやっていけないだろうと思っていた。しかし、こちらの人は、家賃で25000円が出て行くので、それ以外の支出は25000円。ほぼ同じである。食費10000円、スポーツクラブ代13000円、光熱費3000円という内訳。この収入でジムに通えるのかと思ったら、銭湯に行くより風呂に安く入れるという理由。なるほどね。食費はギリギリまで切り詰めている。当然すべて自炊。Amazonで買ったパスタを水につけてやわらかくなったところを電気ポットで煮ると簡単にできるそうだ。しかし飽きないのか?これでもちゃんと健康に生活できているのだからエライが。

税込み500円の雑誌だが、いろいろ楽しかった。調べてみると、2号、3号も出ている。1号はKindle版も出ていた。早く他の号もKindleで出して欲しい。