私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな

ジェーン・スー『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』、ポプラ社、2013


著者は、1973年生まれ、作詞家、ラジオパーソナリティ、コラムニスト。この本は、著者が自分のことを言う「未婚のプロ」が結婚しない/できない理由にかこつけて書いたエッセイ。

「まだ本気出してないだけで、本気出せばどうにかなると思っている」、「結婚したいと思っていることなど、おくびにも出したことがない」、「誕生日やクリスマスに、彼の好みを変えようとするプレゼントを贈ったことがある」などなど、あるあるネタが多いが、自己卑下でもなく、上から目線でもない、ほどよい笑いを取るスタンスの文章で、読んでいて著者に好感がわいてくる。とはいえ、「これは結婚しない人のパターンだ」と思うことも事実。実際、著者は現在結婚したいとは思っていないし、それで不満があるわけでもない。

終わりの一節「楽しすぎる独身生活を手放せない私が、嫁に行けないその他3つの理由」を読むと、著者が非常にまじめな人であることがわかる。著者によると、自分の利己的な目的に合う相手を探しながら、それを恋愛と結婚という言葉でくるんでいるのは、「ゲスい」行為だと断言している。

たしかにゲスいといえばそのとおりだが、そのくらいのレベルのことは皆あたりまえのようにやっていること。そこから離れようとすると、自分に対してより正直にならなければならず、他人にもあまり自分を偽ることができなくなり、結果、男に媚びられないことになるので、結婚は遠のく。

この本は、著者自身が自分の不器用な正直を受け入れようとして書かれているようにも見える。まあ、それはそれでよし。帯に森三中大島美幸が一言書いていて、「馬鹿なジェーン。大切な夏にこんなもの書いていたのかい?40の夏はもう帰ってこないよ」とある。この一言が非常に笑える。