わたしのハテナちゃん

柘植文『わたしのハテナちゃん』竹書房、2013


柘植文の新刊は、これと「野田ともうします」の5巻。こちらは取材レポートマンガ。

作者が、自分のブログとツイッターで読者にアンケートを振っていたが、これだったのか。かなりどうでもよさそうな疑問を、作者と編集のヨシナリさんが一緒に調査する。ネタは、「トイレットペーパーはたたんで使うか」「駅前旅館」「スナック」「石川遼」「ハンカチ王子「選挙」歌声喫茶」「夜行高速バス」「アマチュア無線」「ミュージカルのオーディション」などなど。

ネタのセレクションがよかったので、かなり楽しめた。「駅前旅館」「歌声喫茶」は、こういうものがまだあったとは知らなかったので、かなり行く気になる。「夜行高速バス」は、車内で寝られないのでもう使うことはないだろうと思っていたが、最近の高級シート装備のものはけっこう快適でなんとか寝られるらしい。「選挙」のところでは、その投票所に朝一で投票する人が、投票箱に何も入っていないことを確認して、カギをかけることになっているということを初めて知った。これは早起きまたは徹夜する価値があるかもしれない。

2009年から2013年までの連載ものだったので、「スマートフォン」を竹書房編集部の誰もよく知らないというくだりには時代を感じる。あと、ハンカチ王子の人気はいまでも続いているのだろうか。

柘植文のこの手のコミックエッセイは、いい感じに力が抜けていて、気合が入っていないところが好き。レポートマンガなので、またこの企画で描いてくれるといいな。