館長 庵野秀明 特撮博物館

「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」、愛媛県美術館、2013.6.16


これを松山でやっているということを、松山に来るまでまったく知らなかった。展覧会自体は、東京都現代美術館でやっていた時に見ていたのだが、せっかく松山でもやっていたのでこれはいかないわけにはいかないでしょうと思って行ってきた。

思ったよりも客が多くてびっくり。東京でやっていた時とそれほど変わらないくらいの人が朝から来ていた。日曜日だということや、学校(中学校か高校かは不明)の団体見学で子供がわしわしと来ていたこともあると思うけど。

会場で感慨深かったのは、短編映画「巨神兵、東京に現わる」の前のコーナーで、東宝、円谷その他の特撮作品に登場したメカのプロップやヒーローのマスクが並べられていたのだが、それを見ていた客が話をしていたのを聞くと、これらが登場した作品の多くを見たことがない客が多いのだ。昭和ゴジラシリーズや、80までのウルトラシリーズが中心なので、一部の特撮ヲタ以外は見ていなくても不思議ではないのだが、映画やテレビの本編を見たことがない人がメカのプロップだけ見てもおもしろいものなのだろうか?

巨神兵、東京に現わる」は、映像自体に圧倒的な迫力(音響もちゃんとしているので、DVDではなく、会場で見る価値は十分にある)があるので、巨神兵というキャラを見たことがなくてもけっこう楽しめると思うし、ミニチュアの町を再現しているコーナーではミニチュアの精巧さや作り方が楽しめるので、予備知識抜きでもだいじょうぶだろう。

自分も、子供の時にリアルタイムで見た作品はけっこう少なく、大人になってから、しかも比較的最近CS放送のおかげで見られた作品が多いのだが、これだけの小道具やプロップを倉庫から引っ張りだしてきて、修復、再生するのは気の遠くなるような重労働。映画やテレビの画面で見ているのとは違う、微妙なおもちゃ感と本物感が入り混じったテイストは見なければ味わえないもの。

特典として、「副館長の余計なヒトコト」という、樋口真嗣手書きの文章とイラストでできた1枚もののチラシがタダで配られていて、プロップやセットについてのまめちしきがいっぱい書かれていた。「ドリル」を昔の技術で正確に作るのは非常に困難だったとのこと。ドリルを正面から回転させると、微妙な狂いがあることがすぐにわかってしまうのだ。

ゴールデンウィークには樋口真嗣氏がわざわざ来館して、円谷作品の上映会もあったらしい。帰りマン、タロウ、80、メビウス、そしてウルトラファイトセレクション。これは見たかったわ。図録は東京の展覧会で買ってあるので、あとでゆっくり反芻して楽しむことにする。