エル・グレコ展

エル・グレコ展」、東京都美術館、2013.2.24


改装された後の東京都美術館に行ったのはこれがはじめて。ずいぶんきれいになった。このエル・グレコ展は、先に大阪に来て、その後東京に回ってきたのだが、大阪の展覧会には行けなかったので、東京で見られてよかった。日曜日だったので、どんなに混んでいるかと思っていたが、それなりに人はいたもののむちゃくちゃに混んでいたわけではない。昨日の「会田誠展」の方がよっぽど混んでいた。おかげでゆっくり見られて、とても助かった。

肖像画肖像画としての聖人像、クレタからイタリア、スペインへ、トレドでの宗教画、画家にして建築家、の5部構成。大作は、「無原罪の御宿り」くらいだが、それ以外にも、縮小して描かれたレプリカが多数展示されていて、エル・グレコの傑作がどういうものかがだいたいわかるようになっている。

よかったのは、肖像画が多く展示されていたこと。自画像や、「修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像」など、肖像画は、マニエリスムのきつい宗教画とは違って、肖像画としての表現で描かれている。肖像画の延長線上に聖人像があることも説明されている。マグダラのマリア像は、まるっきり普通っぽい肖像画だ。

クレタ島からトレドに到着するまでの、エル・グレコの作品の変遷がわかるようになっていたこともよかった。最初はイコン作家だったということで、作品のイコンは普通のもの。ギリシャ人だったのだからあたりまえなのだが、非常に新鮮な印象。

マニエリスムがはっきり現れてから後の作品は、だいたい自作のレプリカだが、「羊飼いの礼拝」「聖衣剥奪」「聖家族と聖アンナ」「キリストの復活」などの大作のレプリカが集められていて、非常に満足。対抗宗教改革の中で、エル・グレコの作品がどのように受容されていたかについても説明されていて、勉強になった。

そして目玉作品の「無原罪の御宿り」。これは、作品だけでなく、エル・グレコがこれを飾る祭壇をどのように設計していたかがわかるようになっていて、画家が、作品をどのように見せようとしていたかというポイントを強調していた。実際に聖堂におかれたときにどう見えるかは、行ってみないとわからないが、トレドのどこにエル・グレコ作品が置かれているかについてもいろいろ説明があって、行きたい欲望をむちゃくちゃ煽られた。スペイン、本当に行きたい。トレドの写真は、エル・グレコの絵、そのままだ。