ジェット・エンジンの仕組み

吉中司『ジェット・エンジンの仕組み 工学から見た原理と仕組み』講談社ブルーバックス、2010


これも、サイエンス・アイ新書と同じジェットエンジンの解説書だが、ジェットエンジンの原理と仕組みを「工学的に」明らかにする本ということで、エンジンの図解よりもエンジンの動く原理をきちんと説明することにページがさかれている。300ページほどあるので、ブルーバックスでも厚い方。しかもこちらは最低でも高校レベルの数学と物理がきちんとわかっていないと理解できない。基本的には大学生以上が対象。著者はP&Wカナダ社でジェットエンジンを扱っていた技術者。

ということで、読んでもお手上げの部分が相当あり、自分の手には余るのだが、それでも最初のジェットエンジンの歴史の部分は楽しく読めるし、信頼性、開発期間、テストの内容など、実際に開発をやっていた人ならではの話が多くておもしろい。ジェットエンジンの今後の課題、燃費、騒音、速度の話、ジェットエンジン業界における日本の位置の話も、日本国外でジェットエンジン開発に携わっていた著者にこそ書ける話。

この本の内容がきちんとわかるように、いずれはなりたいと思うが、時間とコストを考えると、やっぱり無理か。