次元上昇日記

辛酸なめ子『次元上昇日記』幻冬社文庫、2012


なめ子様の日記エッセイ。期間は2011年7月から2012年7月までのだいたい1年分。まあ、いつものなめ子様の調子で途中まで軽く読んでいたのだが、2012年4月25日のところまで読んでびっくり。なめ子様のお母様が亡くなった(正確にはお葬式だが)という記事が。

誰でも親が亡くなったらショックだと思うが、なめ子様は、まだ親が寿命になるような年でもないし、文面からもかなりダメージが大きそうな様子は伝わってくる。しかもこの期間も続けて原稿は書いているのだ。作家はそれにしてもたいへんだ。

日記は7月まで続いているが、折に触れてお母様のことを思い出していて、あまり立ち直ってはいないらしい。そりゃそうだろう。文章を読んでいると、いきなりぽっくり亡くなったのではなくて、3年くらい闘病期間があり、その間も見舞いとかで辛そうなお母様の様子をずっと見ていたらしい。そういうことを文章でストレートに書けるようなエッセイだったらいいが、この本だって、帯は「抱腹絶倒」と書いてある。いくら霊がなんとかとかいうことをネタにしていても、なめ子様は、それで笑いをとっているのだから、落ち込んでいることを全部そのまま出すわけにはいかない。

どんな職業もそれなりにたいへんだが、フリーのエッセイストはこういうたいへんさがあるというおはなし。なめ子様のお母様のアセンションを祈らずにはいられない。