世界遺産ヴェネツィア展

世界遺産ヴェネツィア展」、広島県立美術館


各地を巡回していて、ここの展示が最後になっている展覧会。主に、ヴェネツィア共和国が一番調子がよかった15世紀から16世紀ごろの、絵画、工芸を通じてヴェネツィアの歴史を見せましょうというもの。美術というよりは、歴史の展覧会だが、展示品の説明がていねいにされていて、あまり予備知識がなくてもたのしめる。

ヴェネツィア共和国の政治制度から、海軍と海運、貴族や裕福な商人たちの生活をざっと眺められて、思っていたよりずっとよかった。一番大きな展示品は、19世紀から20世紀あたりにつくられたというヴェネツィア・ガラスの巨大なシャンデリア。高さは3メートルくらいはあるので、相当大きな広間でないと吊るしておけない。これに火を灯すのはたいへんそう。

16世紀や17世紀に描かれた絵の風景と、現在の同じ場所の写真が並べておいてあって、町の様子が基本的にずっと変わらない状態で保たれていることがよくわかる。レパントの海戦の絵や、総督のちょっと変わった服装、大評議会が開かれる大広間の絵がかかっていて、ヴェネツィアの昔の繁栄がしのばれる。

今のヴェネツィアは観光でもっている町なので、まるごと図鑑のようなもの。物販コーナーでは、どうでもよさそうなおみやげをたくさん売っていた。世界遺産かどうかなど関係なく、ヴェネツィアは世界に1つの町。一度は行けたらいいが・・・。