中国経済入門(第3版)

南亮進、牧野文夫編『中国経済入門 第3版』日本評論社、2012


大学学部レベルの中国経済入門書。10年余りの間に2度、改版しているので、それなりに売れているのだろう。内容は、中国経済の軌跡、社会主義市場経済、工業化、国有企業、農業、労働市場、金融市場、貿易、外資、米中関係、日中関係、エネルギー、食料、環境問題、所得格差の問題をカバーし、教科書レベルでフォローすべきことはちゃんと書かれている。

本文は非常に読みやすい。わかりやすくすることを第一にしているようで、文章や書き方でひっかかるところがほとんどなく、3時間ちょっとあれば通読できる。随所にコラムがはさんであるが、これがけっこうおもしろい。書き方もバランスよく、図表も豊富なので、この分野にまず手をつける際にはよい手がかりになると思う。

難点は、参考文献紹介が簡単すぎること、日中関係の章がやや内容が薄いことくらい。特に参考文献は、ネットソースも含めて、もうちょっと細かく紹介してもらいたかった。