ふむふむ おしえて、お仕事!

三浦しをん『ふむふむ おしえて、お仕事!』、新潮社、2011


三浦しをんのインタビュー集。対談の相手は、「事務職ではない、特殊な仕事についている女性」。職業は、靴職人、ビール職人、染色家、活版技師、女流義太夫三味線、マンガアシスタント、フラワーデザイナー、コーディネーター、動物園飼育係、大学研究員、フィギュア企画開発、現場監督、ウェイトリフティング選手、おみやげ屋、編集者。

どれもおもしろかったが、三浦しをん自身の趣味絡みの職業、三味線ひき、マンガアシスタント、フィギュア企画開発、編集者あたりのインタビューは、聞き方にちゃんとした知識があるので、とりわけよいインタビューになっている。三浦しをんは、人にものを聞いてくるのが結構上手なのは、『あやつられ文楽鑑賞』などでわかっていたが、この本はその才能が生かされている。

前から思っているのだが、三浦しをんは創作よりも、取材やエッセイのしごとの方がおもしろい本を書いているのだから(もちろん、創作の場合でも取材はしているのだが、創作物よりももとの取材のほうがよい)、なるべくそちら方面で仕事をしていただきたい。

あとがきでは、職業をもとにした創作は今後もやっていくつもりだと書いているので、その時に取材そのものをまとめた本も出してほしい。文楽だけではもったいない。